ビンテージ&アンティーク家具「Kio」の日記
Kioのペイント物語
また寒さがぶり返してきましたね。
でも日増しに、日が長くなっていくのが実感できて、
この季節、これが嬉しい。
「正月を過ぎると、一日1分ずつ1分ずつ、日が長くなっていく」
ひいおじいさんがいつも言っていたものだわと、
曾祖父を慕っていた母が、この時期になると思い出しては言います。
そして私はそれを聞きながら、
季節が確かに移ろうことの喜びや、何か明るい兆しのようなものを感じています。
このところのKioは、家具のペイントに精を出しています。
使っているのは、アニースローンのチョークペイント。
もう12年くらい、これ一辺倒です。
色がきれい。
少し大げさな言い方かもしれませんが、芸術的とさえ思える。
これがアニースローンを使ういちばんの理由ですが、
成分が良いのも気に入っています。
私は化学物質に敏感な方で、
塗料はすぐにリンパが張ったり、目がチカチカすることが多かったのですが、
アニースローンにはそれがありません。
塗り上がりの質感も好き。
「石膏質」と、すぐにお客さまやHPの説明文で語ってしまうのですが、
それだけではない・・・
とろりとした濃厚さがあり、
家具にわずかに厚みを出してくれる・・・・
「きれいなお化粧をしたみたいな」
そんな表現がふさわしいのかな、
家具が洗練されたような感じになるんですよね。
あるいは「リッチな」。
これはアニー・スローン本人がYouTube動画で言っていた例えなのですが、
なるほど、本当にそうだなあと思いました。
さいきんの塗装は、こちら。
もともとはこんなふうでした。
マホガニーの素材も気に入って買い付けたのですが、
サイドパネルに亀裂がひとつあり、
パテ修正をほどこしたにあたって、
全体をリペイント。
ダークワックスで経年変化や奥行を出す予定でしたが、
この家具は〝面〟が多い(装飾や曲線などで盛り上がった部分が少ない)ので、
せっかくのエイジングも汚れみたいに見えてしまうかも・・ということで、
ペイント&クリアワックスの、
いちばんシンプルでベーシックな仕上げに。
リペイントするのは、上のような理由から。
あるいは、買い付け時にすでにリペイントされていても
その様子や状態が「うーん・・・」と思える時があるという理由から。
なので、なるべくオリジナルを残したいとは思っています。
でもそんななか〝家具を長持ちさせる〟という観点からも
リペイントしていきたい気持ちになっています。
塗装本来の目的ですね。
「Kioのオリジナル」みたいに展開していけそうですし、
色味やその組み合わせを考えるのは楽しいです。
ローラーや噴き付けなどの
フラットでムラのない仕上げも好きですが、
刷毛塗り仕上げも大好き。
とくにチョークペイントは、刷毛のテクスチャーがよく似合うんです。
エイジングもですが、クラッケルなど・・・・・
色んな技法を身につけていきたい。
家具とにらめっこしながら、
それぞれに合ったお化粧をほどこしてあげたいです。
「Kioには色がある!」
素敵なお部屋づくりをされているお客さまがそう言ってくれたことがあります。
まるでそのあとに「だから好きですよ」という言葉が続いたかのように聞こえて嬉しかった。
そう、色。
色なんですよね。
そこもやりたいんです。
オープン当初からずっとやっているのですけれどもね(笑)
あまり意識していなかったというか。
それだけ自分にとっては当たり前の色を、
もっと打ち出していきたい気持ちに、
素敵な塗料と前以上に向き合うようになって、
そして色々と思うところもあって、
すごくなってきています。
Kio 20年目へ
たいへん遅ればせながら・・・・
あけましておめでとうございます。
この冬はどれだけ寒いんだろう・・って先が思いやられていましたが、
少し緩んでくれましたね。
夜、外に出ると星空が眺められる。
これくらいの寒さでしたら、冬もロマンチックに感じます。
2025年は、
Kioにとって20年目に入る、大きな節目の年です。
アメリカに買い付けに行くようになり、
現役のままマイペースで仕事を続けるディーラー達の姿に、
「いずれ徐々にペースダウンしていくのだとしても、私も生涯現役でいたいな」
と思うようになっていたので、
まだまだやっていくつもりなのですが、
半面、「こんなに続けてこれたなんて」という驚きもあります。
皆さまのお陰です。
本当にありがとうございます。
Kioは、
自分自身が〝部屋作り〟したくてもなかなか欲しいと思えるインテリアがなくて、
(当時はまだそんな感じでした。
Kioを始める直前まで仕事の関係で東京に1年住んでいましたが、
部屋で普通に使いたいような生活感あるインテリアって、少なかったです。
傘立てとか鏡とか必需品になるほど本当に見つからなかった・笑)
「それだったら自分で始めよう」
「そうすれば同じようなジレンマを抱えた人たちに喜んで貰えるかもしれない」
そんな想いから生まれた店です。
なのでお客さまもやはり「お部屋作りが大好き」なひとが多いです。
アンティークからどんどん広がって、
部屋や住宅の話題になっていく。
そしてお話ししているうちに、
「どうして世の中は同じような既製品で溢れてるんだろう」
「どうしてこんな使い捨ての風潮が広まったんだろう」
という問題に発展していきます。
「使い捨ての風潮が嫌い」
「全体主義の風潮も嫌い」
「コスト重視。これでほんとにいいのだろうか」
ああ、そうなんだな、
こんな、自分と同じ気持ちやいきどおりを皆さんも持っているんだ。
だからアンティークにたどり着くという順序もあるのかもしれない。
自分がそうだったみたいに。
アンティークと言う、きれいで、いっけん趣味の世界のような扉を開けて入ると、
そこは同志に会える場所でもあった。
これも20年かけて培った私にとっての財産。
とても大事です。
アンティークは昔に作られたもの。
それがまだ使うことが出来る。
素敵に感じられる。
新鮮にすら感じられる。
天然木で堅牢に作られたものだったら、
どこか痛んだりしたら削ったりペイントしたりなんかして、
そうやってすればいつまででも使い続けることが出来る。
高いものではけっしてない。
もしアンティークにあまり関心がなかったという方がいらっしゃったら、
いちどアンティークを選択肢に入れてみて欲しいです。
秋の終わりくらいに、
関東の同業者さんがKioを訪ねてこんな場所まで足を運んでくださいました。
初めてお話しするのに、
想いがまったくと言っていいほど一緒で、
同志はお客さまだけではないのだなあと感激したものでした。
私よりもキャリアの長い先輩。
「衣」にも関心をお持ちで、
「衣でも住でも、良いものを見る機会がどんどん失われてきている気がします。
若いひと達にアンティークをもっと知って貰いたいですね」
そんなことをおっしゃるので、
「店をただ覗いてくれるだけでも仕事をひとつ果たしたのかなって気持ちになるんです」
と私が言うと、とても嬉しそうに頷いてくれました。
想いを持ったひと達が、
場所は違ってもみんなで〝何か〟をつくっている。
嬉しくて涙が出そう。
みんながんばれ。
どうぞ良い世界が訪れますように。
最後になりましたが、
本年もどうぞよろしくお願いいたします!
Kioのリトルワールド
8月の終わりくらいから、
手が空いては敷地の木の剪定をやっていました。
東の土手にずらりと並んだ、桜、紫陽花、椿にキョウチクトウ。
自生していつの間にか大きくなった、ウルシの木もあります。
ウルシが生えても「面白い」と放置してたくらいなので、
紫陽花たちも自然まかせにしていたら、
伸び放題の枝に絡みついた葛やアケビの蔓が縦横無尽に広がって、
敷地の東側は、なかなかワイルドな様相になってきておりました。
さすがに「これではいかん、、」と、
剪定に着手。
木々にも土手にも隙間や空間が出来て、
風景が広がったり、光がいっぱい入ってくるのが嬉しくて、
それに散髪?が終わった木を見るのはじつに気持ちがよく、
ハサミを動かす行為がいつの間にか趣味のようになり(笑)、
あのいつまでも暑かった、そう、あの頃のことです、
なのに暑さも汗もいっこうに気にすることなく、
せっせと庭仕事に励んでいたのでした。
「土手を歩けるようにもしたい!」と、
斜面を覆う草や蔓を刈り、
お隣との境の側溝もきれいに。
するとウチの小枝がお隣に舞い込んでいるのが見え、
それらを側溝に立って手が届く範囲でお掃除していると、
高齢になられて「もう剪定は・・・」と言っていたお隣さんの防風林が気になり始め、
「木の散髪はいかがですか?」と申し出てみたらどうだろうと思えてきて。
そこへうまいタイミングでお隣さんが現れ、
散髪の旨を伝えてみたところ、
「おお有難い。願ってもないことです」と、大いに喜んでくださり。
それで『敷地を歩けるようにしよう』プロジェクトは、規模拡大。
つい半月くらい前まで続いていたというわけです。
ちょうど時期を同じくし、
白山町では土地の高精度な測量がおこなわれていて、
Kioにもお隣さんにも何度も何度も測量班の人たちがやって来てたのですが、
手が空くと店から飛び出してきては剪定する私たちを見て、
きっと不思議に思っていただろうな(笑)
じっさいには剪定と言うより、
「大鉈を振るった」の言葉のほうがぴったりで、
東側は様変わりしました。
店内の窓からもよく臨める場所。
お客さまも「すごい変わりましたねえ」「明るくなった」と
喜んでくれています。
「暖かくなったら散策して貰いたいなあなんて思ってるんです」
そうやってお伝えするとき、
お客さまの表情が店内でアンティークを楽しく見ている時とはまた違う、
ほがらかな感じに見えます。
裏の小屋も、少しリフォーム。
南側の壁に薪棚をつけて、色をガーネットに塗り替えました。
まだ途中で、ドア周りをなんとかしたいと思っています。
早いもので白山町に移転をして、来年で10年です。
店の外壁も色褪せてきて、もし出来たら来年・・
遅くとも2年以内には塗り替えたい。
外だけでもまだまだあるのに、
中のことも合わせるとエンドレス(笑)
何度か書いているような気がしますが、
「Kioになりたい」んです。
ここを、小さいけれどそれでも世界にして、
自分たちがまず動いてみて楽しんでみて、
そしてそれをお客さまと共有したい。
実作業が増えて、なかなかダイアリーなどの情報発信が出来ておらず、
そこはとても申し訳なく思っているところ・・・・
年も変わりますし、あらためますね!
話しがあちこちいきますが、
実作業のなかには、もちろんアンティークの修理やリメイクも含まれています。
Kio(の世界)での仕事がぜんぶ大好きです。
おととしから小さな畑も始めましたが、
収穫した野菜のさやを取ったりとか、干したりとか、
そんな手間のかかる仕事も好きで、
じつは自分に向いていたのだ!と新発見があったり(笑)
敷地に自生するヨモギやスギナを摘んで、
お茶にして時々お客さまにもふるまったり、料理に使ったりしています。
「ここで暮らしながら、暮らしのなかから出てきたものも織り込んだ仕事をしたい」
以前に書いたこの場所に移転するにあたっての想い。
時代もあってなのか、ますます深まるばかりです。
あちこち飛んだ話になりましたし、
「Kioってじゃあ何屋さんなの?!」って思われたかもしれません。。
だけどこれだけは確かに言える。
今みたいなスタイルになってからの方が
アンティークがもっと面白く、リアルで必要なものになった。
アンティークはなんていうか、
暮らしそのもの。
私にとってはなのかもしれないけれど、
お客さまとお話ししていると、すごく意見が一致します。
この立ち位置でこれからも発信をしていきたい。
また買い付けにも行きたいな。
今日は年内の営業の最終日です。
今年もお世話になり本当にありがとうございました!
また来年もよろしくお願いいたします。
どうぞ良いお年をお迎えください!
二階のリフォームと、その先の夢。
もう9月だなんて早いですね。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
8月は長いお休みをいただいておりましたが、
お陰さまで二階のリフォーム、かなり進みました。
昨年末に薪ストーブを置いた部屋。
羽目板にまで造作して中断していた壁と斜め天井に、
やっと色がつきました!
くすんだ薄いブルーにする予定で、
塗料は去年から準備してあったのですが、
いざ試し塗りしてみると、薄い感じがどうもしっくりこない・・・・
「濃いめで、そして暖色がやっぱり好き」ということで、
前からずっと気になっていたアニースローン・チョークペイントの『スカンジナビアンピンク』という、
くすみがあって顔料らしさが前面に出たピンクで塗りました。
するとフローリングの床が壁をぼんやり見せているのが気になり始め、
床もペイントしてしまおうということに。
白がいいと思ったとき、
店舗の白い床でいつかしたいと思っていたダイヤのステンシル模様をここにつけよう!となって。
そうしてこんな空間が出来ました。
正確には、出来てきました。
さすがにステンシルに時間がかかって、床はまだあと4分の1くらい残っていますし(笑)、
いちど買い足したピンクがけっきょく足りなくなり、壁もいちぶで未完成・・・
それでも薪ストーブ部屋、
念願だったオイルランプも似合ってくれましたし、
HPの撮影でも使っていけそうで、
頑張った甲斐がありました。
もともとは猫達の専用ルームで、
ここを手に入れた時のごくごく普通の内装のまま
ケージやキャットタワーがおかれた状態だったので、
それを知っているひとはきっとびっくりするだろうなあ。
(猫部屋は、陽の当たる南側に引っ越しました)
スカンジナビアンピンクの買い足しは、
「久しぶりに桑名まで行ってみようか」と
桑名にあるアニスローンの日本総代理店まで出かけました。
高速を使うと1時間で行ける距離にあるのが嬉しい。
到着すると、いつも外に出てみえてお会いしたことがなかったオーナー夫妻がいらっしゃり・・・
知識、技術だけでなく、
アニースローンへの熱い想い(=インテリアや色への飽くなき想いにも繋がる)を持つお二人に出会えたことが
本当に嬉しい出来事となったのでした。
アニー・スローン本人のエピソードが聞けたのも楽しかったですし、
思いがけないお話もいただきました。
Kioではもう10年近くアニースローンの塗料を使って
商品のリペイントをおこなっていますが、
ものの状態やお客さまのご要望に応じてで、
本格的にではありませんでした。
ところが去年くらいから
「Kioのもう一本のラインと謳えるくらいに、本腰を入れてやっていきたいな」と
急に強く思うようになったんですね。
それこそスカンジナビアンピンクみたいな色で塗って、
ワックスをかけてからダークカラーで表情をつけて、
チェストだったら、ひきだしの中も塗る・・こんどは違うカラーで・・、
そうやって世界にたったひとつしかない家具に再生して販売してみたいと。
総代理店のご夫妻からいただいたのは、そんな矢先でのお話でした。
まだ何か進展があったわけではないのですが、
もしかしたらそのうちにご報告出来ることがあるかもしれません。
お話し、ふたたびリフォームのことに戻りまして・・・・・
キッチンも羽目板にして色を塗る予定でしたが、
薪ストーブ部屋の作業が予定以上に増えたので
こちらも羽目板が途中までになっているところです。
薪ストーブ部屋はさっそくHPの撮影で使ってみましたが、
写真だと塗りムラが出てしまって、
もう一回塗るといいのかなあ。。
キッチンもそう遠くないうちにHPの背景に登場すると思いますので、
またぜひ覗いてみてください。
Kio、少しずつですがまだまだ変化をいたします。
これからもよろしくお願いします!
『バスケットムーン』‐100年も長持ちするかご‐
すっかり間があいてしまいました・・・・・・
しばらくぶりに家具ものが入荷したこともあって、
荷受けしてから沢山の方に足を運んでいただきました。
HPにも多くのアクセスをいただいております。
皆さま、本当にありがとうございます。
↑キャビネットを撮った画像なのですが、
今の店内がわりあいと写っていたので載せてみました。
量産されたものが流通の大半を占めるようになって久しいからか、
手作業を感じる、素材の質感が伝わる・・、
そして「こんなのまであるんですねえ」と、
声がもれるほどに珍しいものと時に出会える・・・、
そんなアンティークに、
素直に感動したり反応される方が、
前より増えてきているような気がします。
買い求める・求めないはまず置いておいて・・、
アンティークに反応を示す人の裾野が広がってきているように、
店頭に立っているとそう感じるのです。
Kioは関西と伊勢をつなぐ街道沿いにあるので、
カフェと間違えて通りすがりに入るお客さまも多く、
そんな方でも興味を持つ度合いが前よりも高まったなあって思うので
それもあって余計に。
この間、素敵な絵本の古本と出会いました。
『満月をまって』
1999年 バーバラ・クーニー作
アメリカ東部の山奥で、かごを編んで生計を立てる家族を描いた物語です。
とうさんが作るのは、100年も長持ちするかご。
それなのに行商先の町の人に野蛮なもの扱いされたがために
すっかりかごが嫌いになる少年。
そんな少年にある晩、木と風の声がきこえてきて・・・・
職人は、とうさんをいれて三人だけ。
木を伐り出して丸太にするところから始まり、
素材のリボン(ヒゴのようなもの)作りから編み上げまで、
すべての工程を手作業でおこなっています。
口数は少ないけれども、こころに信念を持つ職人たち。
お話しもとても良かったのですが、
「かごづくり」そのものにも強く心を打たれたのでした。
ニューヨーク州のハドソンからさほど遠くない山奥にじっさいにいた、
たいへん丈夫で美しいかごを編む職人たちがモデルになっているのだそうです。
アンティークのかご、
買い付けでも見ている。
絵本に登場するようなかごは
今や博物館の収蔵にもなっているのだとか。
だけどひょっとしたら、ひとつふたつは目にしたことがあったかもしれない。
かご。
思えば大好きなアイテムなのに、
あまり縁が無いままきてしまった。
こういう本を読むと、がぜん興味がわくし、
暮らしのなかで使ってみたくなる。
100年も持つかごがあること。
そして世の中には同じようなものがきっと他にもいっぱいあって、
もしかしたら作り方も存在も忘れ去られようとしているかもしれないということについて
ずっと考えている。
高知への旅があったり、アーミッシュから学んだり
先月のことですが、急な用事で高知県へ行きました。
朝5時に家を出て、夜の11時半に帰宅。
日帰りの車旅です。
明石海峡を渡り、淡路島を横断し、
今度は鳴門海峡を越えて、四国へ。
淡路島を走っている間は、
なんだかどうしてか、日本の〝おへそ〟にいるみたいな感じがして、
その時の不思議な感覚がずっと残っています。
四万十川も初めて見ました。
大らかな川でした。
そんな場所で、地に足をつけて生きる温かくて陽気なご夫婦と会いました。
自分たち的にも、世の中的にも新年早々から色んなことがあって、
時間が過ぎるスピードがこれまでに以上に早く感じます。
そんななかで四国に行ったときのことは、
アメリカに買い付けで行ったのと同じような記憶場所?におさめられていて、
思い出すと落ち着いた気持ちになります。
まだ確定ではないのですが、
来月買い付けを計画しています。
(近づいているのにまだ未確定だなんて、、、!)
きっと何回か同じようなことを書いていると思いますが、、
「使えるもの。かつ絵にもなるような美しいもの。」
そういったのを探して展開していきたい。
たとえば台所がある。
そこには調理道具や食器が必要だし、
それにテーブル、椅子、食器棚、明かりも必要。
最低限でみてとっても要るそれらのアイテムを、
長く使えて、美しいものにする。
それだけで景色は良くなるし、寛いで楽しい気分にもなれる。
だからそれらは、物質ではあるのだけれども、
それをちょっと超えて精神的なものであると言える。
そこをやりたい。
大事にしたいと思っている。
この間、動画で公開されたアーミッシュの人の家を見ました。
また折りをみてゆっくり書くかもしれませんが、
とにかく本当に衝撃的でした。
美しいとはこういうこと。
本来、シンプルで機能的で持続可能とはこういうことなんだって。
思想や風習という枠でとらえると彼らのことは分かりづらくなってしまうのかもしれませんが、
誰もが実践できて満足が得られる暮らしを見たような気がします。
「こんな暮らしをされたらメーカーのものは売れなくなっちゃうかもしれないね」
思わず夫に向かってこんなことを口走っていました。
美しくて、継続できる暮らし。
Kioとしてやれることがもっと沢山あるはず。
以前みたいにネジをいっぱい巻いてやるのではなくて、
少し緩めて・・・・・、
自分たちも暮らしをもっと楽しみ、
そこから出たものを盛り込みながら、
今までよりあじわいのある店や品揃えになっていきたいです。
書くとついアツくなるのは変わっていませんね。。。笑
熱いものを提供していきますね!
これからもよろしくお願いいたします。
(四国ではぜんぜん写真が撮れなくて。。。
画像が少なくてごめんなさい。。。)
今年もありがとうございました。炉辺にて。
二階の住まいに薪ストーブがつきました。
長年の夢ではあったのですが、
すっかり〝自分たちで手作り〟が生活のモットーになってしまったがため、
「さすがに薪ストーブの設置はハードルが高いね」ということで
これは夢のままできっと終わってしまうだろうと思っていました。
ところがある日、
「薪ストーブをつけることにしたよ」と、
耳を疑うような言葉が夫の口から突然出て。
ホームセンターで何気に手に取った薪ストーブのカタログを見ていたら、
自分でも出来るんじゃないかと思えてきたのだそうです。
(それから夫は、YouTubeなどで猛勉強の日々でした・笑)
鉄の塊を二階にあげるのは家具とはわけが違いましたし、
とくに煙突工事は、風の強い地域でしたので失敗に次ぐ失敗で、
想像以上に苦戦しましたが、
夫が諦めずに頑張ってくれたお陰で
今年は薪の炎を見ながらの年越しです。
鋳物の炉があり、そこに薪をくべる。
ただそれだけ。
電気も燃料タンクもいっさい使わない。
そんな薪ストーブは、原始的と言えるまでのシロモノ。
でも、上昇気流を作って炉内の温度をあげてあげないと、
薪は燃えてくれない。
そのために着火の際には窓を開けて室内の気圧を弱めたり、
燃えやすい針葉樹と、長持ちする広葉樹を使い分けたりしないといけない。
ひと筋縄ではいかないけれども、
そこに自然の摂理を見ることが出来る。
すごく面白いし、勉強になる。
「こんなことを学校で教えて欲しかったね」
なんて夫と笑って話しながら、
やはりここでもKioをやりながらいつもいつも考える
〝本物の道具〟のことを思う。
もうすぐ新しい年が始まります。
どんなことが出来るかな。
どんなモノを提供させていただくことになるだろう・・・・・
興奮、期待、
そんなのが静かに・・興奮なのに静かと言うのもおかしいのだけれども、
でもそんな感じで・・心に湧きおこってきています。
そして皆さまへの感謝も同時に。
買い付けもまだまだ不安定ななか、
そんなKioをいつも見ていてくださって、ご愛顧くださって、
本当にありがとうございます。
どうぞ良いお年をお迎えください。
皆さまにとって2024年が幸せな一年でありますように。
実は見た目だけでなくて使い勝手も良い、ビンテージのヘアブラシ
突然ですが、
皆さまはどんなヘアブラシをお使いでしょうか?
髪質の良い方は
きっと何を使っても上手く梳かすことが出来ることでしょうね。
それこそコームやスケルトンブラシでさっと梳いただけでも
きれいに整うのではないでしょうか。
しかし私は、太くて硬くて量が多く、
おまけにくせ毛で乾燥しやすいときている、、、、、
こんな髪にぴったり合うブラシというものに、
実はこれまでの人生で出会ったことがなかったんです。
くせ毛で根元が立ち上がり気味なので、
毛が柔らかいと、髪にブラシが負けてしまう。
量のせいなのか何なのか、
ヘッドが小さいと櫛通りが悪い。
ここまでは早くから分かったので、
硬い毛で大きなヘッドのものを選ぶようにしていたのですが、
それでもどんなブラシを使っても「ぬかに釘」といった感じで、
上手い具合に梳けない・まとまらない、
ずっとそんなでした。
ところがいつぞやだったか、
いたずらに梳いてみた〝あるブラシ〟が「えっ?!」って思うほど、
私の髪の救いの神となってくれたんです。
それがタイトルにある「ビンテージのヘアブラシ」です。
大きなヘッドに、長い持ち手を携えたひと品。
毛はナイロンだと思うのですが、
まずこれが硬さがあり、びっしりと植毛されていて、
正直、先端を触るとチクッっと痛いくらい・・、
だけどそれがかえって
髪や地肌全体にきちんと行き渡ってくれる感覚があったんですね。
そして重さ。
毛以外はほとんど金属なので、
市販のブラシと比べると、2倍3倍と重い。
でもその重さが功を成して、
髪を余すことなくしっかり梳かしきって(変な表現ですが、、)くれるんです。
硬い毛はこれまでも使ってきたから、
鍵は重さが握っていたんだと思いました。
それまでスチームアイロンを駆使しないとダメだった根元の浮きまで
解消されました。
ボリュームを抑えたいところ、真っすぐにしたいところは、
その部分の上側に手をしっかり当てて重点的に梳かすと上手くいきます。
これまでブラシ難民?だった私には
それはそれは感極まることでした。
商品として買い付けたブラシでしたが、
そのまま私物となり、無くては困るほどの必需品となりました。
かれこれ5年くらい愛用しているでしょうか。
買い付けへももちろん持参します。
いくらスーツケースの中を占領しようとも、重くとも、かまいません!
ただ、大きな金属の塊なので、
X線検査に毎回ひっかかるのが難点、、、
「やっぱり櫛でしたか。余りにも大きかったので確かめさせて貰いました」
5月の買い付けの時も、
スーツケースを開けた空港保安係員の方が苦笑いされていました。。
ちなみに画像は、冒頭もこちらもHP掲載の商品。
私のブラシは、
ヘッドの装飾がアメリカのホテルで取れてしまったみたいで
気づいてから探しても見つからず、
こちらでお披露目するにはちょっぴりさびしい見た目のため、
イメージ画を載せました。。
こちらも試してみますと、
私のと変わらない使い心地で、良かったです。
(正直なところでは、さらに重さがある私のブラシに軍配があがるかな。。)
なんだかさいご宣伝になりましたね(笑)
しかし昔の道具、
ブラシに限らず使い勝手が良いモノが多いなあって思います!
「開かずの扉を開けろ!」作戦。
久しぶりの更新になってしまいました。。
今年の夏休みは、二階住居の一室のリフォームをやっていました。
いわゆる屋根裏部屋的な、斜め天井のお部屋です。
約12畳。
まだ手付かずだったここを、
壁だけでなく斜めの部分も板張りにして、
くすんだ水色でフルペイントして、
コテージ風の空間にすることになり。
休み中に完成させて、
ブログとインスタグラムに投稿をと思っていたのですが、
角度がある部分の板のカットに思った以上に手間がかかり、
作業は定休日に繰り越して、継続中。。
頭が切り替わらなくて(笑)、
ブログ、インスタともにストップしておりました。。。
何か書こうと思い、
小話ですが、この間あった嬉しいエピソードを。
このキャビネット、
もう八年くらい前ですが、買い付け紀行に載せたので覚えてくださってる方、
いらっしゃるかもしれません。
手直しの必要もないくらいの状態だったのに、
なぜ販売していなかったかと言いますと、
鍵が開かなかったんです。。。
1.コンテナで荷受け後、鍵がどこにも無いことに気づく
2.鍵だけバッグに仕舞って帰国したのだったかもと思い、
バッグやスーツケースの中を探すも、どこにも見当たらず
3.「そもそも鍵を受け取らなかったのかもしれない」
それで次の買い付けの時にディーラーに訊いてみると、
「Kioにちゃんと渡したぞ」と即答される
4.店にストックしているあらゆるアンティークの鍵で試すも、
「おしい」のもあったが、やはり開かず・・・
5.鍵の専門屋さんに電話で頼んでみると、
「アンティークはちょっと・・・」と断られる
6.扉の角にマイナスドライバーを当てて
自力で開けようとトライしているところを夫に見つかり、
「無理にやったらダメだよ」と注意を受ける
7.夫の目を盗んで何度かトライする
開きそうな気がするのだが、開かない
6と7は手荒なのですが、、
ひょっとしたら鍵はアンロックの状態で、
ただ単に塗料が固まって扉が開かないだけじゃないかとも思ったんです。。
偶然ぴったり合う鍵が出てくるまで待つしかないのかと思いながら
八年が経過。
すると先日お客さまで設備職人さんでもある方がみえ、
「これまだ開きませんか」と、
店の奥に鎮座し続けるキャビネットを見て、そうおっしゃいます。
1~7までのことを話し、
6で開く可能性もあると言うと、
「やっちゃう?」と、突然そんな思ってもなかったお申し出・・・
「クリアファイルあります?」
「え?それで開けるんですか?」
「いや、道具が家具に当たらないようにクリアファイルを差して養生するんですよ。
これ、現場でよくやるんです」
なるほど、職人さんの知恵も学ばせて貰った・・と思っていると、
「開きましたあ」
この八年は何だったんだと悲しくなるほど、
いとも簡単に扉が開きました、、、
キャビネットは買い付ける直前にディーラーがペイントしたばかりだったので、
完全に乾かないうちに固まった塗料が
扉を施錠したかのように強力に締めていたんですね。
私がトライしても開かなかったのは、
私と職人さんの技と力の差だったみたいです。。
けれどまさか、こんな急展開で扉が開くことになるなんて・・・!
職人Sさん、どうもありがとうございました!
それにしても鍵がかかっていなくてほんとに良かった。。
扉には、真鍮かブロンズの小さな取っ手を付けて、
鍵穴は飾りとして残そうかと思っています。
近いうちに商品ページでもお披露目いたしますね!
しかし、鍵はいったいどこへ行ってしまったんだろう?
椅子職人さんの工房で出会ったアンティークのスツール
先日HPにアップをしたスツール。
正統派なのに、チャーミングで、
そんなところが自分としては好きです。
出会いは、思いがけないところにて・・・・・・
商品の椅子を張り替えるにあたり、
複雑な工程を要するものでしたので
職人さんにお願いすることにしたのですが、
いつまでも名古屋時代の職人さんにお願いするのも行き来が大変ですし、
それで地元の職人さんを探すことにしたんです。
インターネットの情報をみていて、
直感で「ここだ」と思うところがありました。
住所は四日市。
Googleマップで見てみると、
70年代のレトロモダンな外観が現れ・・・・
そこは昔から何度か前を通ったことがあり、
そのたびに「なんかいい感じだなあ」って思っていたところだったので
少しびっくり。
そして「ご縁があったんだあ。
子供の頃から知ってたのに(三重生まれ)、今になって・・!」と、
嬉しくなったのでした。
ずっと椅子のショールームがメインだと思っていたのですが、
いざ直す椅子を持ち込みにうかがうと、
今ではショールームは稼働しておらず、修理専門にシフトされたみたいでした。
そんななか、
かつてのウインドウだったところに
修理を終えてビニール袋をかぶった椅子にまじって佇む
一台の優美なスツールの姿が。
それが画像の子です。
張り替え依頼に来たのに、買い付けに来たときみたいなテンションとなり、
「電話した者ですが、あの、すみません!、こちらは売り物でしょうか?!」と、
用件が後先に(笑)
「ああ、これですか?これは私のおばあちゃんが使っていた椅子なんです。
倉庫から出てきたので、傷んでいた座面だけ張り替えたんですよ」と、穏やかに職人さん。
私「かなり古いですよね?」
職「ええ。100年は経っているはずです」
私「どこの国のものか分かりますか?」
職「うーん、そこまでは・・・・。ヨーロッパだとは思いますが」
職「張り替えが終わって、引き取りに来てくれるときまでに値段を考えておきますね」
私の目が強くものを言っていたのか(笑)、職人さん、そんなふうに笑いながら言ってくれました。
そして次に行くと値段がつけられていて、
スツールは、張り替えが終わった椅子と一緒にKioにやって来たというわけ・・・・
椅子職人さんの工房には、
ルイ様式のチェアや、ビクトリアンのシェーズロングなど、
素敵なアンティークの椅子が何台かありました。
みなアンティークショップさんからのご依頼なのだそう。
手に入れられないものばかりですが、
でもショップではなくこういった特殊な環境でアンティークを見ると
なんだか買い付けの現場が思い出されて、
職人さんとのご縁がますます嬉しくなりました。
おじいさんの代から三代目なのだそうで、
工房の奥ではお父さまとお母さまらしき方が椅子に向かっていました。
家族で代々営む椅子工房だなんて、良いですね。
するとスツールは初代の奥さまの持ち物だったということになり、
この子は色んな椅子をこれまで見て来たんだと思うと、感慨深いものがあります。
*工房の写真を撮らせて貰えば良かったなあ。
どうもいつも、そういったことをうっかりしている私。。。