Diary
Kioのペイント物語
また寒さがぶり返してきましたね。
でも日増しに、日が長くなっていくのが実感できて、
この季節、これが嬉しい。
「正月を過ぎると、一日1分ずつ1分ずつ、日が長くなっていく」
ひいおじいさんがいつも言っていたものだわと、
曾祖父を慕っていた母が、この時期になると思い出しては言います。
そして私はそれを聞きながら、
季節が確かに移ろうことの喜びや、何か明るい兆しのようなものを感じています。
このところのKioは、家具のペイントに精を出しています。
使っているのは、アニースローンのチョークペイント。
もう12年くらい、これ一辺倒です。
色がきれい。
少し大げさな言い方かもしれませんが、芸術的とさえ思える。
これがアニースローンを使ういちばんの理由ですが、
成分が良いのも気に入っています。
私は化学物質に敏感な方で、
塗料はすぐにリンパが張ったり、目がチカチカすることが多かったのですが、
アニースローンにはそれがありません。
塗り上がりの質感も好き。
「石膏質」と、すぐにお客さまやHPの説明文で語ってしまうのですが、
それだけではない・・・
とろりとした濃厚さがあり、
家具にわずかに厚みを出してくれる・・・・
「きれいなお化粧をしたみたいな」
そんな表現がふさわしいのかな、
家具が洗練されたような感じになるんですよね。
あるいは「リッチな」。
これはアニー・スローン本人がYouTube動画で言っていた例えなのですが、
なるほど、本当にそうだなあと思いました。
さいきんの塗装は、こちら。
もともとはこんなふうでした。
マホガニーの素材も気に入って買い付けたのですが、
サイドパネルに亀裂がひとつあり、
パテ修正をほどこしたにあたって、
全体をリペイント。
ダークワックスで経年変化や奥行を出す予定でしたが、
この家具は〝面〟が多い(装飾や曲線などで盛り上がった部分が少ない)ので、
せっかくのエイジングも汚れみたいに見えてしまうかも・・ということで、
ペイント&クリアワックスの、
いちばんシンプルでベーシックな仕上げに。
リペイントするのは、上のような理由から。
あるいは、買い付け時にすでにリペイントされていても
その様子や状態が「うーん・・・」と思える時があるという理由から。
なので、なるべくオリジナルを残したいとは思っています。
でもそんななか〝家具を長持ちさせる〟という観点からも
リペイントしていきたい気持ちになっています。
塗装本来の目的ですね。
「Kioのオリジナル」みたいに展開していけそうですし、
色味やその組み合わせを考えるのは楽しいです。
ローラーや噴き付けなどの
フラットでムラのない仕上げも好きですが、
刷毛塗り仕上げも大好き。
とくにチョークペイントは、刷毛のテクスチャーがよく似合うんです。
エイジングもですが、クラッケルなど・・・・・
色んな技法を身につけていきたい。
家具とにらめっこしながら、
それぞれに合ったお化粧をほどこしてあげたいです。
「Kioには色がある!」
素敵なお部屋づくりをされているお客さまがそう言ってくれたことがあります。
まるでそのあとに「だから好きですよ」という言葉が続いたかのように聞こえて嬉しかった。
そう、色。
色なんですよね。
そこもやりたいんです。
オープン当初からずっとやっているのですけれどもね(笑)
あまり意識していなかったというか。
それだけ自分にとっては当たり前の色を、
もっと打ち出していきたい気持ちに、
素敵な塗料と前以上に向き合うようになって、
そして色々と思うところもあって、
すごくなってきています。
Kio 20年目へ
たいへん遅ればせながら・・・・
あけましておめでとうございます。
この冬はどれだけ寒いんだろう・・って先が思いやられていましたが、
少し緩んでくれましたね。
夜、外に出ると星空が眺められる。
これくらいの寒さでしたら、冬もロマンチックに感じます。
2025年は、
Kioにとって20年目に入る、大きな節目の年です。
アメリカに買い付けに行くようになり、
現役のままマイペースで仕事を続けるディーラー達の姿に、
「いずれ徐々にペースダウンしていくのだとしても、私も生涯現役でいたいな」
と思うようになっていたので、
まだまだやっていくつもりなのですが、
半面、「こんなに続けてこれたなんて」という驚きもあります。
皆さまのお陰です。
本当にありがとうございます。
Kioは、
自分自身が〝部屋作り〟したくてもなかなか欲しいと思えるインテリアがなくて、
(当時はまだそんな感じでした。
Kioを始める直前まで仕事の関係で東京に1年住んでいましたが、
部屋で普通に使いたいような生活感あるインテリアって、少なかったです。
傘立てとか鏡とか必需品になるほど本当に見つからなかった・笑)
「それだったら自分で始めよう」
「そうすれば同じようなジレンマを抱えた人たちに喜んで貰えるかもしれない」
そんな想いから生まれた店です。
なのでお客さまもやはり「お部屋作りが大好き」なひとが多いです。
アンティークからどんどん広がって、
部屋や住宅の話題になっていく。
そしてお話ししているうちに、
「どうして世の中は同じような既製品で溢れてるんだろう」
「どうしてこんな使い捨ての風潮が広まったんだろう」
という問題に発展していきます。
「使い捨ての風潮が嫌い」
「全体主義の風潮も嫌い」
「コスト重視。これでほんとにいいのだろうか」
ああ、そうなんだな、
こんな、自分と同じ気持ちやいきどおりを皆さんも持っているんだ。
だからアンティークにたどり着くという順序もあるのかもしれない。
自分がそうだったみたいに。
アンティークと言う、きれいで、いっけん趣味の世界のような扉を開けて入ると、
そこは同志に会える場所でもあった。
これも20年かけて培った私にとっての財産。
とても大事です。
アンティークは昔に作られたもの。
それがまだ使うことが出来る。
素敵に感じられる。
新鮮にすら感じられる。
天然木で堅牢に作られたものだったら、
どこか痛んだりしたら削ったりペイントしたりなんかして、
そうやってすればいつまででも使い続けることが出来る。
高いものではけっしてない。
もしアンティークにあまり関心がなかったという方がいらっしゃったら、
いちどアンティークを選択肢に入れてみて欲しいです。
秋の終わりくらいに、
関東の同業者さんがKioを訪ねてこんな場所まで足を運んでくださいました。
初めてお話しするのに、
想いがまったくと言っていいほど一緒で、
同志はお客さまだけではないのだなあと感激したものでした。
私よりもキャリアの長い先輩。
「衣」にも関心をお持ちで、
「衣でも住でも、良いものを見る機会がどんどん失われてきている気がします。
若いひと達にアンティークをもっと知って貰いたいですね」
そんなことをおっしゃるので、
「店をただ覗いてくれるだけでも仕事をひとつ果たしたのかなって気持ちになるんです」
と私が言うと、とても嬉しそうに頷いてくれました。
想いを持ったひと達が、
場所は違ってもみんなで〝何か〟をつくっている。
嬉しくて涙が出そう。
みんながんばれ。
どうぞ良い世界が訪れますように。
最後になりましたが、
本年もどうぞよろしくお願いいたします!
Kioのリトルワールド
8月の終わりくらいから、
手が空いては敷地の木の剪定をやっていました。
東の土手にずらりと並んだ、桜、紫陽花、椿にキョウチクトウ。
自生していつの間にか大きくなった、ウルシの木もあります。
ウルシが生えても「面白い」と放置してたくらいなので、
紫陽花たちも自然まかせにしていたら、
伸び放題の枝に絡みついた葛やアケビの蔓が縦横無尽に広がって、
敷地の東側は、なかなかワイルドな様相になってきておりました。
さすがに「これではいかん、、」と、
剪定に着手。
木々にも土手にも隙間や空間が出来て、
風景が広がったり、光がいっぱい入ってくるのが嬉しくて、
それに散髪?が終わった木を見るのはじつに気持ちがよく、
ハサミを動かす行為がいつの間にか趣味のようになり(笑)、
あのいつまでも暑かった、そう、あの頃のことです、
なのに暑さも汗もいっこうに気にすることなく、
せっせと庭仕事に励んでいたのでした。
「土手を歩けるようにもしたい!」と、
斜面を覆う草や蔓を刈り、
お隣との境の側溝もきれいに。
するとウチの小枝がお隣に舞い込んでいるのが見え、
それらを側溝に立って手が届く範囲でお掃除していると、
高齢になられて「もう剪定は・・・」と言っていたお隣さんの防風林が気になり始め、
「木の散髪はいかがですか?」と申し出てみたらどうだろうと思えてきて。
そこへうまいタイミングでお隣さんが現れ、
散髪の旨を伝えてみたところ、
「おお有難い。願ってもないことです」と、大いに喜んでくださり。
それで『敷地を歩けるようにしよう』プロジェクトは、規模拡大。
つい半月くらい前まで続いていたというわけです。
ちょうど時期を同じくし、
白山町では土地の高精度な測量がおこなわれていて、
Kioにもお隣さんにも何度も何度も測量班の人たちがやって来てたのですが、
手が空くと店から飛び出してきては剪定する私たちを見て、
きっと不思議に思っていただろうな(笑)
じっさいには剪定と言うより、
「大鉈を振るった」の言葉のほうがぴったりで、
東側は様変わりしました。
店内の窓からもよく臨める場所。
お客さまも「すごい変わりましたねえ」「明るくなった」と
喜んでくれています。
「暖かくなったら散策して貰いたいなあなんて思ってるんです」
そうやってお伝えするとき、
お客さまの表情が店内でアンティークを楽しく見ている時とはまた違う、
ほがらかな感じに見えます。
裏の小屋も、少しリフォーム。
南側の壁に薪棚をつけて、色をガーネットに塗り替えました。
まだ途中で、ドア周りをなんとかしたいと思っています。
早いもので白山町に移転をして、来年で10年です。
店の外壁も色褪せてきて、もし出来たら来年・・
遅くとも2年以内には塗り替えたい。
外だけでもまだまだあるのに、
中のことも合わせるとエンドレス(笑)
何度か書いているような気がしますが、
「Kioになりたい」んです。
ここを、小さいけれどそれでも世界にして、
自分たちがまず動いてみて楽しんでみて、
そしてそれをお客さまと共有したい。
実作業が増えて、なかなかダイアリーなどの情報発信が出来ておらず、
そこはとても申し訳なく思っているところ・・・・
年も変わりますし、あらためますね!
話しがあちこちいきますが、
実作業のなかには、もちろんアンティークの修理やリメイクも含まれています。
Kio(の世界)での仕事がぜんぶ大好きです。
おととしから小さな畑も始めましたが、
収穫した野菜のさやを取ったりとか、干したりとか、
そんな手間のかかる仕事も好きで、
じつは自分に向いていたのだ!と新発見があったり(笑)
敷地に自生するヨモギやスギナを摘んで、
お茶にして時々お客さまにもふるまったり、料理に使ったりしています。
「ここで暮らしながら、暮らしのなかから出てきたものも織り込んだ仕事をしたい」
以前に書いたこの場所に移転するにあたっての想い。
時代もあってなのか、ますます深まるばかりです。
あちこち飛んだ話になりましたし、
「Kioってじゃあ何屋さんなの?!」って思われたかもしれません。。
だけどこれだけは確かに言える。
今みたいなスタイルになってからの方が
アンティークがもっと面白く、リアルで必要なものになった。
アンティークはなんていうか、
暮らしそのもの。
私にとってはなのかもしれないけれど、
お客さまとお話ししていると、すごく意見が一致します。
この立ち位置でこれからも発信をしていきたい。
また買い付けにも行きたいな。
今日は年内の営業の最終日です。
今年もお世話になり本当にありがとうございました!
また来年もよろしくお願いいたします。
どうぞ良いお年をお迎えください!
買い付けの番外編『朝、コーヒーをかって』
去年、隣町でコーヒーの焙煎屋さんに出会いました。
雑味や強い苦みがまったくなくて、
まろやかで、ほのかに甘い。
個性的なのにクセがなくて、
一日に何倍も飲みたくなる(じっさいに飲んでいる)。
だから困るくらい・・・
そんな美味しいコーヒーにすっかりハマって
足しげく通うようになりました。
そこのお店のさらに嬉しいところは、
店内で焙煎待ちをするお客さんには窓辺のカウンターで、
豆の持ち帰りのお客さんにはホルダーに入れて、
それぞれに淹れたての日替わりコーヒーをサービスしてくれるところ。
私は後者。
なので車を運転しながらコーヒーをいただくのですが、
それが何とも至福の時間で。
そんな話しをKioでお客さまとしていて
思い出したことが。
買い付けの朝の日課は、
コーヒーを買うことなんです。
LA周辺には美味しいコーヒー屋さんがたくさんあるのですが、
なかなか早朝から開いているところは少ないので、
どんなホテルの近くにも必ずあるセブンイレブンで買っています。
日本と違って(コンビニに滅多に行かないので今の事情が分からないのですが、、)、
店内の目立つ一画がコーヒー売り場になっていて、
店の奥のキッチンで作られサーバーにたっぷり注がれたコーヒーが何種類が置いてあり、
好きなサイズのカップを取って、欲しいコーヒーを自分で注ぎ、
カウンターでお金を払うシステム。
私は決まってコロンビアなのですが、
なかなか美味しいです。
よほど売れるのか安い(500mlカップがたしか3ドルくらい)のも嬉しい。
セブンイレブンに着くまではまだなんとなく寝ぼけ気味なのですが、
コーヒーをホルダーにセットするやいなや、
気分は高まり、一気に買い付けモードに。
そしてコーヒーを飲みながらフリーウェイを走る。
ラジオから音楽が流れて、景色も流れて。
この時間がほんとうに大好きなのです。
「買い付けっていうと、いちばん思い出すのがこの時間のことなんですよね」
苦笑いしながらお客さまに言うと、
「車を運転している時間って、頭が整理される時間でもあるから、
だから買い付け全部が詰まってる車やフリーウェイのことが浮かんでくるんじゃないかな」と。
なるほど!
きっとそうだ!
そのお客さまもさっそく前述のコーヒー屋さんで豆を買ってファンになられたのですが、
『なんだろう、この澄みきった感じ…と思う、
無駄なものはなくて、伝えたい味だけ残してるような・・・』
そんなメールをいただきました。
「伝えたい味」その言葉にはっとしました。
伝えたいという、想いがまず先にある、そんな物作り、
そして物作りだけじゃなくて、ひいては仕事全般・・・・・・
それもまた私は大好きだと。
コーヒーから色々と広がってしまいましたが、
じつは前から書きたいと思っていた「買い付けの朝コーヒーを買って・・・・」
そのことがやっと書けました。
お付き合いくださりありがとうございました!
今回ご登場いただいたお客さま・Sさんにも感謝を。
↑おまけ。
セブンイレブンのコーヒーの写真がなかったので、
ハリウッドのこわもて俳優ダニー・トレホがやっているドーナツショップで買ったコーヒーを代わりに。
ここのドーナツはとっても美味しいです。
お届け日記『19世紀のチェスト、終の棲家へ』
19世紀のチェスト。
ビクトリアンな雰囲気漂う佇まいもですが、
長い歳月の間に塗装に生じたクラッケルの模様・・
・・自然のものなのですが、模様と呼んでしまいたくなるような・・
が本当に魅力的。
こちらを大変気に入られて、
その時は他のお品にされたのですが、
二度目の時にはすでに心に決められていたのか、
「やっぱりこの子を・・・」と、
再会を喜ぶようにしてお求めくださったお客さま・Tさん。
ご自宅のガーデンで育てたお花をドライにするところから始めて、
それらを使ったフラワーアートの創作活動をされています。
今日はそんなTさんのお家へのお届け日記です。
向かった先は滋賀県。
少し早く着いたので、
「まずどのお家か、先に確認させていただこう」ということになったのですが、
ひときわ素敵なお庭が目に入った時、
「きっとあそこだよね!」と夫とふたりテンションがあがりました。
ジャンクなものを鉢にして、
元気な植物たちがぴったりな場所に配置されたガーデンは、
そこ自体もTさんの作品なのだと思いました。
地元の農家さんに譲って貰ったという道具もサマになっていて、
真似してみたくなりました。
「ちょっと前までのバラの時期は良かったんですよ」とTさん。
たしかにそれも見てみたかった。
でもこの時の、イキのいい色んな緑が集った様子、
こちらまでシャキッとさせてくれるほどにみずみずしくて、きれいで、
とても気持ちが良かったです。
チェストは「とりあえず・・」ということで、
一階のTさんの工房へ。
ドライになったお花やハーブのにおいが大好きなのですが、
ここは深呼吸したくなるほどでした。
Tさんが丁寧にお花に向き合っていらっしゃる・・
そんな緊張感や空気感まで宿っているような・・・
チェストはそのうちに二階の自室へ運ばれるそうなのですが、
この空間にもしっくりと!
Tさんもさっそく喜んでくれました。
一度目の時も二度目の時も、
何とも言えない眼差しをTさんはこの子に向けられていましたが、
今回お家にお邪魔して、
この子を好きになって下さったはずだ!と思いました。
出会いはまるで奇跡のようだけれど、運命のようでもあり・・・・・
自分にふさわしい場所に行けて、
チェストもチェストできっと嬉しく、
そして深呼吸も出来て、すっかり寛いだ毎日を送っていることではないかしら。
Tさん、本当にありがとうございました!
公開が遅くなってごめんなさいでした。。。
二階のリフォームと、その先の夢。
もう9月だなんて早いですね。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
8月は長いお休みをいただいておりましたが、
お陰さまで二階のリフォーム、かなり進みました。
昨年末に薪ストーブを置いた部屋。
羽目板にまで造作して中断していた壁と斜め天井に、
やっと色がつきました!
くすんだ薄いブルーにする予定で、
塗料は去年から準備してあったのですが、
いざ試し塗りしてみると、薄い感じがどうもしっくりこない・・・・
「濃いめで、そして暖色がやっぱり好き」ということで、
前からずっと気になっていたアニースローン・チョークペイントの『スカンジナビアンピンク』という、
くすみがあって顔料らしさが前面に出たピンクで塗りました。
するとフローリングの床が壁をぼんやり見せているのが気になり始め、
床もペイントしてしまおうということに。
白がいいと思ったとき、
店舗の白い床でいつかしたいと思っていたダイヤのステンシル模様をここにつけよう!となって。
そうしてこんな空間が出来ました。
正確には、出来てきました。
さすがにステンシルに時間がかかって、床はまだあと4分の1くらい残っていますし(笑)、
いちど買い足したピンクがけっきょく足りなくなり、壁もいちぶで未完成・・・
それでも薪ストーブ部屋、
念願だったオイルランプも似合ってくれましたし、
HPの撮影でも使っていけそうで、
頑張った甲斐がありました。
もともとは猫達の専用ルームで、
ここを手に入れた時のごくごく普通の内装のまま
ケージやキャットタワーがおかれた状態だったので、
それを知っているひとはきっとびっくりするだろうなあ。
(猫部屋は、陽の当たる南側に引っ越しました)
スカンジナビアンピンクの買い足しは、
「久しぶりに桑名まで行ってみようか」と
桑名にあるアニスローンの日本総代理店まで出かけました。
高速を使うと1時間で行ける距離にあるのが嬉しい。
到着すると、いつも外に出てみえてお会いしたことがなかったオーナー夫妻がいらっしゃり・・・
知識、技術だけでなく、
アニースローンへの熱い想い(=インテリアや色への飽くなき想いにも繋がる)を持つお二人に出会えたことが
本当に嬉しい出来事となったのでした。
アニー・スローン本人のエピソードが聞けたのも楽しかったですし、
思いがけないお話もいただきました。
Kioではもう10年近くアニースローンの塗料を使って
商品のリペイントをおこなっていますが、
ものの状態やお客さまのご要望に応じてで、
本格的にではありませんでした。
ところが去年くらいから
「Kioのもう一本のラインと謳えるくらいに、本腰を入れてやっていきたいな」と
急に強く思うようになったんですね。
それこそスカンジナビアンピンクみたいな色で塗って、
ワックスをかけてからダークカラーで表情をつけて、
チェストだったら、ひきだしの中も塗る・・こんどは違うカラーで・・、
そうやって世界にたったひとつしかない家具に再生して販売してみたいと。
総代理店のご夫妻からいただいたのは、そんな矢先でのお話でした。
まだ何か進展があったわけではないのですが、
もしかしたらそのうちにご報告出来ることがあるかもしれません。
お話し、ふたたびリフォームのことに戻りまして・・・・・
キッチンも羽目板にして色を塗る予定でしたが、
薪ストーブ部屋の作業が予定以上に増えたので
こちらも羽目板が途中までになっているところです。
薪ストーブ部屋はさっそくHPの撮影で使ってみましたが、
写真だと塗りムラが出てしまって、
もう一回塗るといいのかなあ。。
キッチンもそう遠くないうちにHPの背景に登場すると思いますので、
またぜひ覗いてみてください。
Kio、少しずつですがまだまだ変化をいたします。
これからもよろしくお願いします!
『バスケットムーン』‐100年も長持ちするかご‐
すっかり間があいてしまいました・・・・・・
しばらくぶりに家具ものが入荷したこともあって、
荷受けしてから沢山の方に足を運んでいただきました。
HPにも多くのアクセスをいただいております。
皆さま、本当にありがとうございます。
↑キャビネットを撮った画像なのですが、
今の店内がわりあいと写っていたので載せてみました。
量産されたものが流通の大半を占めるようになって久しいからか、
手作業を感じる、素材の質感が伝わる・・、
そして「こんなのまであるんですねえ」と、
声がもれるほどに珍しいものと時に出会える・・・、
そんなアンティークに、
素直に感動したり反応される方が、
前より増えてきているような気がします。
買い求める・求めないはまず置いておいて・・、
アンティークに反応を示す人の裾野が広がってきているように、
店頭に立っているとそう感じるのです。
Kioは関西と伊勢をつなぐ街道沿いにあるので、
カフェと間違えて通りすがりに入るお客さまも多く、
そんな方でも興味を持つ度合いが前よりも高まったなあって思うので
それもあって余計に。
この間、素敵な絵本の古本と出会いました。
『満月をまって』
1999年 バーバラ・クーニー作
アメリカ東部の山奥で、かごを編んで生計を立てる家族を描いた物語です。
とうさんが作るのは、100年も長持ちするかご。
それなのに行商先の町の人に野蛮なもの扱いされたがために
すっかりかごが嫌いになる少年。
そんな少年にある晩、木と風の声がきこえてきて・・・・
職人は、とうさんをいれて三人だけ。
木を伐り出して丸太にするところから始まり、
素材のリボン(ヒゴのようなもの)作りから編み上げまで、
すべての工程を手作業でおこなっています。
口数は少ないけれども、こころに信念を持つ職人たち。
お話しもとても良かったのですが、
「かごづくり」そのものにも強く心を打たれたのでした。
ニューヨーク州のハドソンからさほど遠くない山奥にじっさいにいた、
たいへん丈夫で美しいかごを編む職人たちがモデルになっているのだそうです。
アンティークのかご、
買い付けでも見ている。
絵本に登場するようなかごは
今や博物館の収蔵にもなっているのだとか。
だけどひょっとしたら、ひとつふたつは目にしたことがあったかもしれない。
かご。
思えば大好きなアイテムなのに、
あまり縁が無いままきてしまった。
こういう本を読むと、がぜん興味がわくし、
暮らしのなかで使ってみたくなる。
100年も持つかごがあること。
そして世の中には同じようなものがきっと他にもいっぱいあって、
もしかしたら作り方も存在も忘れ去られようとしているかもしれないということについて
ずっと考えている。
アメリカ買い付けフォトギャラリーと、お知らせと。
↑LA近郊のオールドタウン。
アンティークディーラーが何軒か集っています。
どこか哀愁漂うこのエリア(笑)が、何故か好きです。
さて、先にお知らせからです。
買い付け商品ですが、
4月下旬に名古屋へ到着予定との通達を受けておりましたが、
5月7日に変更となってしまいました。
コンテナ船、
入港は無事にしたのですが、なんとそれは東京港で、
名古屋港へはトラックで回送される流れだったようです。
その到着が予定より遅れ、5月7日になるとのこと。
連休があるので、
そこかしこでスケジュールに乱れが出ているのだと思いますが、
それにしても混載便はなかなか勝手が違うものだなあと、
ひとつ勉強になりました。
なんにしましても状況が不透明ですので、
入荷(店頭お披露目)時期につきましては、
こちらへの到着日がはっきりと決まってからのご案内とさせていただきたく、
再びの大幅変更で大変申し訳ありませんが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
↑西の空に不思議な雲が出ていました。
今回いちばん使ったフリーウェイ10号線の、帰り道。
↑日曜日。何故か行くところ行くところにXの雲。
夫に電話で話すと「イーロン・マスクがお金払ってやってたんじゃない?」と。
なるほど。笑
↑向こうのインフレと円安のダブルパンチで、食費がたいへんでした(笑)
ベトナムフォーですら2500円、サブウェイもハーフサイズで1200円、、、
そうだ、メキシカンの屋台!と思って行くと、タコスが1350円でした、、、、、
でもケサディーヤ、美味しかったな。
↑目に入った瞬間「え!」と声が出た、フロレンタインの一台。
入荷は遅れますが、無事に日本に着いて良かった!
再会が楽しみです。
↑さいきんビンテージカーに興味が出てきて、それでオイルの缶やらサーバーやらに目がいきました。
ほんとはこういうのも大好きなんです。
↑フリーマーケット会場に到着しましたの巻。
荷がまだだというのに、また行きたくなってきます(笑)
日本でもマルシェがすっかり根付いて、ゴールデンウイークは色々なところでイベントがあるのでしょうね。
皆さま、どうぞ良い連休をお過ごしください。
荷受けは出来ませんでしたが、
Kio界隈も新緑に溢れています。
よろしければ遊びにいらしてください!
アメリカ買い付け紀行「復活祭が近づくころに」
↑買い付け三日目の朝。
だんだん迫りくるレイクアローヘッド。
移転したり、縮小したり、
中にはオーナーチェンジや閉業をしていたり・・・・・、
今回の買い付けでは、
ディーラーに多くの変化が見られました。
頻繁に買い付けるようになって久しいフレンチ系のディーラーも、
そのうちのひとつ。
昨年の夏、彼らからニュースレターが届きました。
それは大家さんから「10月までにここを明け渡してください」と突然立ち退きを強いられ、
あと二か月しか猶予がなくなったことを告げる悲しい知らせ。
「アンティーク屋」と言うよりも、
「アンティークで作り上げた世界」と言ったほうがしっくりくるような、
そんな、
オーナーの情熱と、
熱が伝搬したブースオーナー達とで築き上げられた空間。
それがなくなってしまうなんて・・・
規模拡大リニューアルしてまだ数年という背景もありましたので、
みんなの気持ちは如何ばかりかと思いましたし、
再建が心配でした。
ところが彼らはすぐに新たな場所を見つけて、
またたく間に再建に漕ぎ着けた・・・・・!
そこに訪れるのも、今回の楽しみのひとつでした。
そこそこ古くに建てられたレストラン跡なのかな?
踏み固められて、磨きもかかったテラコッタの床と、
アーチがいくつもある天井と、漆喰の壁。
スペイン風の瀟洒な内装でした。
でも前と比べると、広さが半分くらいに。
やむを得なかったんだろうな。
それよりも近くにいい場所が運よく見つかって、
すぐに再建して、すごいと思った。
素敵な空間も健在!
オーナーはあいにく留守でしたが、
ブースのひと達もとても楽しそうでした。
残念だったのは、買い付けたい品に出会えなかったこと。
でもみんなからエネルギーをいっぱい貰いました。
↑あ!と声があがったものの、柱の大きな傷が気になって見送ったハッチ。
傷も含めていいと思えるものも沢山あるのですが、この傷はどうしても。。。
↑イースターが近かったので、色んなところでウサギが。
このあと行ったディーラーは、オーナーチェンジ。
チェンジ直後だったみたいで、ちょうどオープン準備中とのこと。
また買い付けが出来ませんでしたが(笑)、
一軒目では良い成果が出ていたので!
↑一軒目を終えて、積み込みの巻。
違反の場所に、いちおうディーラーのお墨付き?を貰って一時停車。
しかし背後の建物は、要人も泊まりにくるホテル。
早速おまわりさんがコンビで近づいてきて焦りましたが、
アンティークのピックアップですと言うと、すぐ理解して手を振って立ち去りました。ほっ。
さて、お話しが前後しますが、
前回の買い付け紀行のさいごに書いたオレンジ市では、
2005年・初回からの馴染みのカントリー系ディーラーが、
場所は変わっていないのですが、規模縮小で、
半分くらいの売り場になっていました。
三年ぶりに会うオーナーの娘のケイティが
「わーーーお」と声を張り上げて駆け寄ってきてくれました。
ケ「さいごに来たのいつだっけ?」
私「三年くらい前」
ケ「それじゃあ空間が小さくなってから初めてだよね?」
私「うん」
ケ「ね!ね!小さくなったでしょう!」
それが嬉しかったことみたいに、高らかに言うケイティ。
すぐは面喰らいましたが、
「ゆっくり楽しんでいってね!何かあったら声をかけてね!」と、
ほんとうに生き生きとしてて。
そんなケイティが愛おしくなりました。
小さくなったけれど、空間は相変わらずで、
新しいブースオーナーが入ったのか、インテリア本のページを開いたような一角もありました。
ゲートレッグテーブルを買い付け。
今回はこれ一台。
「これだけなのお!」と、満面笑顔で怒るケイティでした。
この善い人たちのビジネスが、
これから先もながく続きますようにと、
色々な行き先で願った今回の買い付けでした。
アメリカ買い付け紀行「フリーマーケット」
日曜日。
オレンジカウンティのフリーマーケット会場にやってきました。
前回の買い付け紀行に書いた、
ディーラーのディアナから教えて貰ったというのはここです。
存在は知っていたのですが、
足が向かなかったところ。
でもディアナの「小さいんだけれど、とてもいい内容なのよ。
あなたのテイストにも合うんじゃないかしら」との言葉にこころ動かされ、
訪れてみることにしたのです。
メルローズのフリマくらいかなあ?と
自分なりに小さいのをイメージしていたのですが、
その3倍くらいはあり、浮足立ちました。
南カリフォルニアのフリマでは
どこに行っても馴染みのディーラーの姿があるものですが、
ここには誰ひとりとしていない。
みんな、ローズボウルに行っているみたいだ。
そう、第二週なのでローズボウルがあったのですが、
そちらは当初の計画からも省いたくせに、
こちらには来たという(笑)
朝いちから来ていますが、
ローズボウルがあるというのに、人がけっこう多くて活気がある。
ローカルエネルギーと、
アメリカでのアンティークの人気の高さを感じながら、
会場をまわりました。
買い付けも5日目で、終盤に差し掛かる頃。
もとより少なかった予算も減ってきていて、
出物が多かったらどうしよう・・・と
ヘンな心配があったのですが、
困るようなことにはならず(笑)、
それでいて、ここで欲しいと思ったものは集めることが出来ました。
↑右端のシェルフも買い付けました。1920-30年代頃のもの。
ビクトリアンな感じの上品さと、家庭的な感じが同居しています。
わあ、アンティークの糸つむぎ機!
こんなのが店内にあったら、
しばらく売れなかったとしても、もの達を生き生き引き立てる存在になってくれそうだし、
場に物語が生まれそう・・・・・・
迷いましたが、
今回はとにかく不足している定番商品の買い付けが優先でしたので、断念。
ああ、でも円高だったら買っていただろうなあ。。。
ディーラーは一軒一軒に個性があり、
ディアナが言うように良いフリーマーケットだなあと思いました。
古着と、そして古着リメイクのブースも多かった。
↑こちらはリメイクの帽子も手掛けてるディーラーさんでした。
トラックも気になった!
ディアナに「あなたは古着はやらないの?」
「古着もいいと思うけれど。私は大好きだわ」と言われて
(じっさいディアナのブースには、古着のハンガーもありました)、
なんだかKio店内に古着が並んだ絵を想像したらしっくりきて、
古着を見かけると、いつに増して丁寧に見たのでした。
↑妙に気に入った子供用のつなぎ。
「これ一枚だけ急に店に並んでもなあ」と見送ったのですが、頭にインプットしておこう!
フリマ会場をあとにして、
オレンジカウンティはオレンジ市に移動してきました。
フリーウェイを降りたら立ってたコンテナ看板。
写真だと広く見えますが、小さな果樹園までこしらえてあって、オレンジ市の大アピール。
看板の色のせいですかね、なんだか懐かしい気持ちにさせられました。
前回は来なかったので、数年ぶりのオレンジです。
ディーラーにも変化が見られました。
ここでのエピソードはまた後日にしたいと思います。
今回もお付き合いくださりありがとうございました!